刑事訴訟法改正

出国制限制度

刑事訴訟法の改正により、2025年5月15日から「出国制限制度」が施行されました。

「出国制限制度」とは、

① 拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告を受けた者(要するに実刑判決を受けた人)、裁判所の許可を受けなければ出国できない(刑訴法342条の2)
② 罰金の判決(命令)が確定した者のうち、罰金を完納することができないを対象として、裁判所が出国制限をかけることができる(刑訴法494条の3)

という制度になります。
 実刑判決を受けた人は、原則出国制限、
 罰金刑を受けた人は、支払いができなさそうな人に対して例外的に出国制限
が科されるという制度になります。

出国制限がなされている場合には、裁判所の出国許可を得なければ、海外にいくことができません(刑訴法342条の3、494条の4)。

出国許可をとらないまま出国しようとした場合や、
出国許可はとったけれども、条件に違反した場合には、
勾留又は拘置(要するに捕まります。)される扱いとなるようです(刑訴法342条の8、494条の5)。

罰金刑を受けた人に関しては、出国制限が告げられることとなると思いますので、本人は出国制限を自覚していると考えられるのですが、
・在宅事件として起訴された後、実刑判決を受けた人
・無罪判決や執行猶予判決を得たが、その後逆転で実刑判決を受けた人
などは、説明を受けないと、判決を受けた後、刑の執行がされるまでの間に国外に行こうとすると、空港で止められて、身柄拘束を受けるということになりかねないものです。
受刑前の最後の旅行と考えていたところ、行き先が拘置所になってしまうので、なかなかひどいストレスになりそうです。

出国制限制度の対象となるのは、

・令和7年5月15日以降に拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告を受けた者、
・令和7年5月15日以降に罰金の裁判の告知を受けた者

になります。

ここで気になるのは、令和7年5月15日より前から裁判が行われている事案についても出国制限の対象になるのか、という点すが、

令和5年5月17日法律第28号(要するに改正刑訴法)附則6条3項によれば

「令和7年6月1日(刑法等一部改正法施行日)以後における出国制限の(第一項の)規定の適用については、懲役又は禁錮に処する判決は、それぞれ拘禁刑に処する判決とみなす。」
(条文を読みやすくするため一部返還しています。)

とされているため、令和7年5月15日以降1に判決を受ける場合には、すべて出国制限制度の適用を受けるということになりそうです。

実務的にはあまりでくわなさそうですが、遭遇したときに結構な問題を孕みそうな問題ですので注意をしなければと思う次第です。

  1. 同附則6条2項参照 ↩︎